小説/ショートショートショートショート「こたつ」 段ボールの空き箱が部屋の中に無造作に散乱している。 カラのペットボトルが何本も倒れている。 レトルト食品のゴミが散らかっている。 人の腕が転がっている。 指先がピクリと動き出すと、こたつの毛布に包まれた男がゆっくりと... 2021.12.23小説/ショートショート
小説/ショートショートショートショート「仮想ペット」 スクランブル交差点を歩くと、強大な電光掲示板からいつものようにCMが耳に入ってきた。 別に聞いているわけではないが、毎朝聞いているので自然と耳に入ってくる。 他にも歩いている人の雑音も聞こえるが、無意識に女性の声を聴こう... 2021.11.27小説/ショートショート
小説/ショートショートショートショート「妹の体毛」 甘くさわやかな入浴剤の香りが、肌をかすめる。 「お風呂あがったよ」 「んー。」 脱衣所に行くと、さっきまでそこにいたであろう人の熱気を肌で感じることができた。 換気扇が消えていることを確認した後、扉を開け... 2021.11.27小説/ショートショート
小説/ショートショートショートショート「ファーストキスの叫び」 西日がブロック塀の影を長く地面に伸ばしている。石を蹴り上げたときの砂ぼこりが靴にかかるが、僕はそれをどうとも思わなかった。 「うおおおおおおお!!」 「どうした!?」 「いや、なんでもない」 「なんでもなくはないだろ... 2021.11.10 2021.11.27小説/ショートショート
小説/ショートショートショートショート「深海電車」 耳には空気が塊となって移動する音が入り込んでくる。暗く深い深海にこれほど長いトンネルはあっただろうか。 私たちはいつも集団で移動する。群れていた方が大型魚に食べられる心配が少ないからだ。しかし彼らは仲間ではない。 いつも一緒に行... 2021.10.14 2021.11.27小説/ショートショート
小説/ショートショートショートショート 【世界の果て】 ここは宇宙、にある地球、にある日本、の東京、にある宇宙研究所、の二階、の会議室。 「ここから先は君と二人で話したい」 私は上司に言われ、人の出入りがほとんどない作業室兼物置き場の部屋で話を聞いた。 たまにイベントで... 2021.09.06 2021.11.27小説/ショートショート
小説/ショートショートショートショート 【死の靄】 何かが跳ねるような金属音が長い廊下に響き渡る。 金属製の長い廊下は、まるで一枚の板で作られたかのようにつなぎ目がない。 そして廊下は緩やかにカーブしており、ドーナツ状になっていた。 ここは宇宙船。 今までに見... 2021.09.06 2021.11.27小説/ショートショート