段ボールの空き箱が部屋の中に無造作に散乱している。
カラのペットボトルが何本も倒れている。
レトルト食品のゴミが散らかっている。
人の腕が転がっている。
指先がピクリと動き出すと、こたつの毛布に包まれた男がゆっくりと体を起こしてきた。
しかし彼は体全てを毛布の外に出すことはできない。毛布から出せるのは上半身のみで、下半身はこたつの中から出すことが出来ない。
こたつの電源は常につきっぱなしで、部屋の中は汗がじんわりと垂れるような暑さだ。
彼の顔は汚れていて、汗をかいていた。
ピンポーン
彼はこたつの中から棒を取り出した。釣り竿のように伸縮できるようになっており、伸ばすと5メートルほどの長さになった。
先端は手のような構造になっていて、手元のレバーを引いて指を操作できるようになっていた。
男はそれを使い、ドアを開けた。
「…。」
ドアの向こうには男がいた。
その男の表情は哀れみと軽蔑が混ざった顔だった。
彼は部屋の中に入り、こたつの近くに段ボールを置くと。
「…。ここに置いていきますね。」
と一言いって帰ってしまった。
こたつの男はうめき声をあげながら上半身を起こし、机に肘かけるように座った。
彼は箱を開けた。中には2Lペットボトルに入った水が9本入っていた。
彼はキャップを床に捨てると、水を勢いよく飲んだ。
喉を通る音が不気味に響き渡る。
彼の眼は乾いていた。
電源ケーブルはゴムの部分に多少の切り傷があったが、切断はされていなかった。
おそらく彼はコンセント抜こうとしたり、ケーブルを切断しようとしたのだろう。
しかし彼の爪が黒焦げているところを見ると、どうやらうまくいかなかったらしい。
部屋の中は時間が止まっている。
こたつの机のふちには、バツ印が一周していた。
いったい彼はいつからここにいて、この生活をしているのか。
子供の遊ぶ声が聞こえる。
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