西日がブロック塀の影を長く地面に伸ばしている。石を蹴り上げたときの砂ぼこりが靴にかかるが、僕はそれをどうとも思わなかった。
「うおおおおおおお!!」
「どうした!?」
「いや、なんでもない」
「なんでもなくはないだろ」
頭の中を真っ白にしようとしたが、僕はこの感情を吐き出さずにはいられなかった。
唇には先ほどの感覚が、消えることなくまとわりついている。
「実はさ…。」
「うん。」
「さっき彼女とキスしちゃったんだよね…。」
「おい!!!」
「昇降口で…。」
「おい!!!」
「あ、悪い。ちょっと水筒忘れたから先に校門行ってて。」
「わかった。」
僕は教室のやけに重たい扉を開ける。
そこには数人の女子が帰る支度をしていた。水筒をとりに行く間に横目で女子グループを見ていたが、彼女がその中にいることが分かると、目は正面しか見れなくなった。
無事に水筒を取り戻した後、靴を履くために昇降口に行くと後ろから「ちょっと待って!」と声が聞こえた。
後ろを振り返る。彼女だ。
小走りでかけてくる彼女の髪は、左右に大きく揺れている。
すると靴を半分履きかけたに僕に近づき、グイっと顔を寄せてきた。
視界に彼女の顔がいっぱいに映ると、僕は恥ずかしくなったので首を横に向けた。しかし彼女は僕の顔をまた前に向けさせると、唇に滑らかな唇を当ててきた。
(!?)
あまりにもいきなりで、息が止まる。唇はすぐに離れた。
「え!?」
下を向いている彼女が顔を上げると、耳は真っ赤になっていた。
「また明日ね!」
その後のわずかな記憶に残ったのは、彼女の恥が混ざった満面の笑みと、僕の唇に付いたリップクリームの香りだった。
「うおおおおおお!!」
「また叫ぶな!」
「いやごめん。さっきのこと思い出してた…。」
僕の叫びは心の何とも言えない、何かわからない感情を落ち着かせようとしている。
「うおおおおおおお!!」
「どうした!?」
「いや、なんでもない」
「なんでもなくはないでしょ」
頭の中を真っ白にしようとしたが、私はこの感情を吐き出さずにはいられなかった。
唇には先ほどの感覚が、消えることなくまとわりついている。
「実はさ…。」
「うん。」
「さっき彼氏とキスしちゃったんだよね…。」
「おい!!!」
「昇降口で…。」
「おい!!!」
ガラガラガラガラ…。
この教室の扉は誰かが入ってくると必ず大きな音が鳴る。誰が入ってきたのかちらっと見ると、彼氏だった。
私は表情を変えることなく、友達と話す。
彼氏はどうやら水筒を忘れたらしい。自分の水筒を手に持つと、その場で一口お茶を飲んだ。
ほとんど会話が頭の中に入らず彼を見ていると、濡れた唇がかっこよく見えた。
その時、お姉ちゃんの一言を思い出す。
「キスぐらいしちゃいな~」
今は幸いなことに、いつも一緒にいる彼の友達もいないようだ。時間的にも学校に人がほとんどいない。
彼が教室から出ていくのを見ていると、考える余地はないかのように思えた。
「あ、ちょっと待ってて!」
重い扉を開けて彼氏を追いかける。
「ちょっと待って!」
昇降口で靴を半分履きかけているのを見ると、ギリギリだったんだと思う。
私は今しかないと思い、キスをしようとした。
しかし、彼は恥ずかしがって首を横に向けた。私だって恥ずかしいよ!
両手で頭を優しく前に向けると、私はキスをした。
彼の顔を見れないぐらい恥ずかしくなったが、ここでモジモジすることは嫌だったので、笑いながら「また明日ね!」と言った。
「うおおおお!!」
「また叫ぶな!」
「いやごめん。さっきのこと思い出してた…。」
私の叫びは心の喜びと恥ずかしさを整理させようとしていた。
「あれ?お前今なんか言った?」
「え、何も言ってないよ。」
「なんか叫び声聞こえなかった?」
「叫び声?」
「うおおおお!!」
「ほら。」
「ホントだ。」
「ていうかこの声お前の彼女じゃね?」
「…!」
「彼氏好きだーーー!!」
「!!」
「おい!!!」
「俺も好きだーーー!!」
「うるせえ!!」
「俺も好きだーーー!!」
「!!」
「あれ、今なんか聞こえなかった?ていうかあんたの彼氏の声じゃない?」
私は顔が熱くなり、今どんな表情をしているのかわからなくなった。
「私明日学校行かない!」
「いけ!」
おしまい。
SNSなどフォローお願いします!
▼TEAMラゲシマのTwitter
https://twitter.com/teamrageshima
▼TEAMラゲシマのInstagram
https://www.instagram.com/teamrageshima
▼ネタを送り付けるのはコチラ
https://forms.gle/DQs4omEbAWELEor38
▼ほしいものリスト
https://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/2ZKDKZAKH1PJT?ref_=wl_share
▼ラゲネコLINEスタンプ発売中
https://line.me/S/sticker/14106384
コメント